算命学の泉[1]

尾崎 光越(www.honkakuuranai.com

 

───編集部より

今回より『算命学の泉』と題する連載が始まります。算命学(さんめいがく)というのは,年と月と日の干支(かんし・えと)に基づいて森羅万象(しんらばんしょう)のゆくえを予知する占いであり,学問です。流れゆく世界の中で皆さまの足元に小さな明かりを灯していただければと考え,算命学の専門家である尾崎光越先生にご執筆をお願いしました。

 

算命学

算命学は古代中国,殷(いん)の時代に確立された陰陽五行説を基本にした学問で,中国の宗教である道教の中の神仙思想(しんせんしそう)に基づいています。

その技法は膨大な理論と占術を持ち,宿命のエネルギーを数理で表すなど,他に類を見ない明確な予知を可能とするものです。そのため,中国では政治や軍略の要として,歴代の王朝において秘法として受け継がれてきました。

しかし,第二次世界大戦後の文化革命が起こると,算命学の伝承者たちは秘伝の秘法を携えて海外への亡命を図りました。この時,日本へ亡命した中国人の算命学宗家(そうけ)から理論と技法を受け継いだのが日本の文学博士であった高尾義政です。同博士の手によって膨大な技法が整理統合され,昭和40年に『原典算命学大系』としてすべてが公開されました。

それ以後,算命学は「高尾算命学」とも呼ばれるようになり,東洋における予知学の英知として幅広く知られるようになりました。

算命学の根幹には,人を自然界の一部としてとらえ,人の運勢を自然界に置き換えて分析する自然思想が流れています。単に個人の苦悩を占うというのではなく,自然界の中で個性の質を問い,社会や国や時代などの取り巻く環境との関係性の中で運勢全体を見定めていこうとするものです。

それ故に,算命学は「人はどのように生きるべきか」「社会はどのようにあるべきか」という基本的な命題のもとに,この世における役割を発見していくための人間探求の学問といってもよいでしょう。

占いといえば,「今月の運勢」などとして雑誌などで扱われていますが,算命学の複雑な技法ではそれは成り立ちません。そこで,この連載では算命学の立場から,人の生き方などの命題に関するヒントをいくつかお伝えしていきたいと考えています。

まず初めに,基本的な「運命と宿命」をどのように考えるべきかについてお話しします。

 

 

運命と宿命

運命や宿命という言葉は日常的に頻繁に使われています。これらを絶対的なもの,変えようのないものというイメージでとらえていらっしゃる方も多いと思います。これは運命も宿命も同じ意味だと考えていらっしゃるからなのですが,しかし,これらは互いに深い相関関係にありながらも,それぞれ別の意味を持つもので,運命と宿命は異なるものなのです。

先ずは基本的な意味を持つ「宿命」からご説明しましょう。宿命とは「命が宿る」と表されるように,私たちがこの世に生命を授かった時に受けた気質や傾向等すべてを含めた個性ということができます。これは自分で変えることのできないものです。しかし,宿命に良い宿命と悪い宿命はなく,その宿命に授かっている個性が,生まれた時の環境や育つ環境,また大人になった時には仕事や所属している社会の環境に合うかどうかで,その宿命が恵まれたものか,そうでないかということはできます。

例えば,どうしても男子が欲しいと願う家庭に女の子として生まれれば,恵まれない宿命といえるでしょう。また,研究者の家庭に勉強好きの子どもが生まれれば,恵まれた宿命といえるでしょう。すなわち,環境とは,まず生まれた時の家庭環境や兄弟姉妹との関係,両親との関係から始まり,やがて友だちや学校との関係につながっていきます。つまり,あらゆる環境の中でその人の持つ宿命が素直に発揮され,矛盾を起こすことなく生活できれば,環境は宿命に沿っているといえるでしょう。

次に運命について述べることにします。運命とは「命を運ぶ」と書くように,自分たちの意思で,授かった命を運んでいくという意味があります。人生の過程において様々な選択をしていくことで変化する可能性のあるもの,それが運命なのです。

「私は運が悪い」と決めてかかり,落ち込んで動こうともしない人がいます。それでは人生が良くなるはずがありません。宿命を変えることはできなくても,運命は自分の考え方や行動や生活を勇気を持って変えていくことで,面白いように変化するものなのです。すなわち,運命を変えるのは自分なのです。

「変えようがない宿命を生かすために運命を変えて人生を切り開く」ことが宿命の個性に沿った生き方をすることです。それができれば,逆境から抜け出すことも,さらに輝いた人生を築くこともできるのです。

 

本稿はJaponism Victoria, vol.8 no. 4, 2013に掲載の同名記事に加筆修正をしたものです。

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算命学の泉 San-Mei-Gaku Divination[1]

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