算命学の泉[2]

尾崎 光越(www.honkakuuranai.com)

 

 

運命のバイオリズムと心の真理<その1>

前回,人間の人生における宿命と言われる変わりようがないものは,運命の半分でしかないと述べさせていただきました。そこで,今回は変わらない宿命と残りの半分がどのように運命を形成していくのかをお話したいと思います。

運命は絶対的なものというイメージを持ち,初めから人の外側にあって人間を縛(しば)りつけている縄のような存在として捉えられていることが多いと思います。しかし,運命は人の外側にあるものではなく人と共にあるものなのです。

では,変えることが難しい宿命とは何かというと,「人は死ぬ」というような免れられない事実や,人種や両親の選択,生まれたときの国籍,性別,きょうだいの中の位置関係,両親から受け継いだ遺伝子など,自分で選択出来ないものを意味しています。最近では国籍や性別など変えられる場合もありますが,例えそれらを変えたとしても生まれたときに授かったものの影響は免れることはできないでしょう。

しかし,宿命の中には性格や感覚や素質や考え方の傾向などのように,それ自身の質を変えることはできませんが,表現や行動の仕方を自分の意志や考え方で変えることが出来るものもあるのです。運命を創る半分とはこの意志や考え方に基づいた行動なのです。

宿命が現状に適するように行動が宿命を生かすものであれば,結果,良い運命をもたらすことになります。反対に宿命を壊す働きをしてしまえば,せっかくの有り難い宿命も良い運命をもたらしてくれません。

 

 

そして,それらの方向を決める考え方や行動は,大勢の人との関係の中で現れてきます。それを集団のサイクルといいます。集団のサイクルはその人に備わっている宿命や本性の傾向や特徴を映し出す影絵のようなものと言っても良いでしょう。

例えば,「我が強い」という宿命を持った人がいたとします。この人は集団のサイクルのなかで自然に我の強さを発揮します。それは宿命通りに生きているわけですが,大切なことは強い我をどのように発揮したかにかかわります。苦しい中でも最後まで頑張り続けて周りの人に認められたり,良いリーダーとして仲間を引っ張って事を成し遂げたり,周りの人を助けたり等のように逞(たくま)しく大きく豊かな人として生きれば,運命は間違いなく上がります。反対に独りよがりで傲慢な態度を取り続ければ,運命は確実に下がります。すなわち,運命を良くするためには,『どの様な意志や考え方をもって行動することが宿命を生かすことに結びつくのかを学習すること』が不可欠になります。例え算命学でも,占いに頼りきって答えが出せないのは,このことによります。

人は我の強い人として生まれれば,最後まで我の強い人として生きるものです。時々,芯は強くても円満で柔和な感じの人に出会うことがあります。その人は相当に良い考え方と意志によって自分を磨き,運命を高める事に成功したのでしょう。

世の中には何事もすいすいとこなして行く人がいます。一見良く見えますが,どこか軽薄な感じがします。しかし,良い自分の意志と良い考え方を身に付けて努力を重ねてきた人は,落ち着きと品格を感じさせるものです。すなわち,良い運命を創るには宿命を生かす理性や知性が大切なのです。それには,先ず自分を知ることだと思います。

私の専門とする算命学は,人生に迷った時に一呼吸入れて自分を見つめ直すことが出来るように,授けられた宿命を皆さまにお伝えして,より良い道を選択しより良い運命を迎えていただくお手伝いをするための学問です。

 

本稿はJaponism Victoria, vol.8 no. 5, 2014に掲載の同名記事に加筆修正をしたものです。

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