算命学の泉[4]

尾崎 光越(www.honkakuuranai.com

 

 

宿命を知る

「宿命を知り運命を生かす」

前回は,孤独を経験することを通して,人は生きるための本当の方向を感じられる存在であることをお伝えしました。今回は,宿命を知るにはどのようにしたら良いのかについて述べさせていただきます。

宿命とは自らに備わっている本質です。初めから本質が解っていたら苦労はしません。それが解らないからこそ占い師の仕事があるともいえるのですが,それでは何を決めるのにも占い師がいなければなりません。すべてのことを占い師に決めてもらっても,決して良い運命はもたらされません。何故なら,運命は自分で切り開くものだからです。しかし,占い師なしでどのように自分の宿命を知ることができるのでしょうか。

それには,先ず自分の人生は自分の責任で生きるという姿勢が大切です。そして,自分を知ろうとする心構えが必要です。いたずらに他人の生き方にあこがれて真似をするのではなく,自分のもつ力を生かそうとする意欲を持つことです。

例えば,宿命のひとつである生命力は,弱い人もいますし,強い人もいます。小さい時から身体の弱い人は何となく自分の生命力を知ることができます。しかし,生命力が弱いということは運命が弱いことではありません。弱い星で生命力が弱ければ,それに合う人生の設計をして強く命を運ぶ運命を創れば,強運の人生を過ごすことができます。「一病息災」といわれるのもそのひとつの例でしょう。

そのために,私は人生の初めの時期に自分の宿命である本質を知る努力をすることが大切だと考えます。できる限りいろいろな経験をしてほしいのです。人生の流れを運命の世界で見た場合,子ども時代,青年時代,壮年期,晩年期そして最後の死の世界に分かれます。長い人生を同じテンポで歩むのではなく,子ども時代から青年時代までは壮年期以降の人生作りのための準備期間と考えて,自分に合うものと合わないものを選別できる感覚を身に付けるために,忙しくチャレンジをすることが良いと思います。

 

 

例えば,自分の本質に合った職業をさがすのにも,いろいろな出来事にぶつかる必要があります。合わないことに出会ってこそ,合うことが解るというものです。世の中には,子どもの適職は何かと占い師の私に聞きにいらっしゃる親御さんがあります。勿論,占い師の立場から「お子さんの占いの上からの本質はこうなので,これこれの仕事に向いているかもしれません。」と答えることはあります。しかし,その親が相談に来るまでの子どもの生き方が宿命に合っている場合とそうでない場合では,アドバイスの仕方は相当変わります。

それを無視して「あなたの本質はこれなので,今日からそれに合わせて生き方を変えて下さい。」といっても,いわれた本人は混乱するでしょう。星から観た本質にあてはまることを羅列しても決して良い結果にはなりません。ですから,私は必ず「本人が良く考えて決めることですね。」と付け加えます。

この傾向は人間関係にもあてはまります。よく,相性の良い人と相性の悪い人といういい方を耳にします。恋人との関係を知るにも,結婚相手を選ぶにも相性の良い人に出会いたいと願われます。私たちは様々な人達との関係で生きています。その中には,何となく好意を持てる人もいれば,何となく嫌な人もいます。それが相性ですが,相性が良さそうだから付き合う,また相性が悪そうだから付き合わないというのは良くありません。

相性が良くない人というのは,自分と異なる感覚や考え方を持っているという側面もあります。ですから,若い時代にはいろいろな人を知り,付き合ってみることです。但し,相性があまり良くないと感じた場合には,その事実を頭の中で判断しておく必要はあるでしょう。その場合は,無理に合わせて深入りしようとせず,聞き役にまわって関係を保つのも良いでしょう。

小さい時に友だちと喧嘩したり仲良くしたりしながら成長するのが良いのはこのことです。ですから,子ども時代から青年期にかけては,せいぜいいろいろな人と付き合って下さい。友だちが10人いたとしたら,6人は相性の良い人,後の4人は良くない人くらいの割合で付き合えれば良いのです。きっと,人間のスケールが大きくなり,自分の本質にも気づくことができるでしょう。

 

本稿はJaponism Victoria, vol.8 no. 7, 2015に掲載の同名記事に加筆修正をしたものです。

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